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ベネズエラ・メリダ滞在記|危険な国で見つけた「人の温度」とアンデスの安らぎ

2026年6月12日金曜日

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ベネズエラ・メリダ滞在記|危険な国の中で、なぜか一番「人の温度」を感じた街

「ベネズエラ」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?ハイパーインフレ、治安悪化、あるいはニュースで流れる緊迫した情勢……。正直に言いましょう。僕のベネズエラ旅も、基本的にはずっと心臓がバクバク鳴りっぱなしの緊張の連続でした。

でも、アンデス山脈の懐に抱かれた標高の高い街「メリダ(Mérida)」だけは、不思議と違ったんです。そこには、殺伐とした空気ではなく、確かな「暮らしの匂い」と、旅人の凍えた心を溶かすような「人の温もり」がありました。

今回は、ベネズエラという嵐のような国の中で見つけた、静かな避難所のような街・メリダでの体験をお話しします。これからこの国を目指す(かもしれない)勇敢なあなたへ、リアルな手触りをお届けしますね。

結論:メリダはベネズエラ旅行で唯一「落ち着いて息ができた場所」

先に結論を言ってしまうと、メリダは僕にとって「ベネズエラ旅行のオアシス」でした。首都カラカスや他の都市では、常に背後に誰かいないか気にし、スマホを出すことすら躊躇する毎日。しかし、メリダに到着して数日経つ頃には、少しだけ肩の力を抜いて深呼吸ができるようになっていたんです。

もちろん、日本のような安全があるわけではありません。それでも、ここには「日常」がちゃんと息づいていました。市場で交わされる挨拶、学生たちの笑い声、そしてアンデスの澄んだ空気。メリダは、ベネズエラという国が持つ“もう一つの、優しい顔”を見せてくれる場所だったのです。


【体験談】夜の底に沈む恐怖と、朝の光に溶ける優しさ

メリダとの出会いは、最悪の気分から始まりました。長距離バスに揺られて到着したのは、街が深い闇に包まれた深夜。街灯はまばらで、人影ひとつない大通り。バス停に降り立った瞬間、「これ、無事に宿までたどり着けるのか?」という強烈な不安が襲ってきました。神経を研ぎ澄ませ、獲物を狙う動物のような目つきでタクシーに飛び乗ったのを今でも鮮明に覚えています。

翌朝、世界が一変する感覚

ところが、翌朝。窓から差し込む光に誘われて外へ出ると、昨夜の恐怖が嘘のような光景が広がっていました。

  • 活気ある市場からは、新鮮な食材やスパイスの香りが漂ってくる
  • 街角のレストランは普通に営業し、人々がコーヒーを楽しんでいる
  • 道ゆく人々の表情が、他の都市に比べてどこか柔らかい

「ああ、ここでは人がちゃんと“生活”しているんだ」と、張り詰めていた糸がふっと緩んだ瞬間でした。

震える手を見かねた、あのおばちゃんの親切

メリダで一番忘れられない出来事があります。ある食堂で「レバー定食」を頼んだ時のこと。極限の緊張状態での旅が続いていたせいか、僕の手は無意識に少し震えていたのかもしれません。ナイフとフォークをうまく使えず、もどかしく食事をしていた僕を見て、隣のテーブルにいた現地のおばちゃんがスッと立ち上がりました。

彼女は何も言わず、僕のお皿を引き寄せると、一口サイズに丁寧に料理を切り分けてくれたんです。見返りを求める風でもなく、ただ「食べなさい」と微笑むような、自然すぎる親切。言葉の壁を超えて、人の体温がダイレクトに伝わってきました。「危険な国」という色眼鏡だけでは決して見ることのできない、尊い瞬間がそこにはありました。


メリダってどんな街?アンデスに抱かれた学生の街の素顔

ここで少し、メリダがどんな場所なのか整理しておきましょう。ここはベネズエラ西部、アンデス山脈のただ中に位置する、国内有数の観光・学生都市です。

メリダの主な特徴

  • 気候:標高が高いため、ベネズエラ特有の蒸し暑さはありません。日中は過ごしやすいですが、朝晩はダウンが欲しくなるほど冷え込みます。
  • 活気:大学があるため若者が多く、街全体にどこかクリエイティブで自由な空気が流れています。
  • 物価:2016年の時点の経済状況にもよりますが、滞在時は異常なほど安かったです。レバー定食が約200円、ビールはなんと30円台。金銭感覚が狂うレベルです。

絶対に見逃せないスポット

  • 世界最長級のロープウェイ(Teleférico):一気に雲の上、標高4,000メートル超の世界へ連れて行ってくれます。山の頂から見下ろす景色は、これまでの苦労を全て吹き飛ばすほどのスケール感です。
  • 路地裏のカフェ:学生街らしく、落ち着いたカフェや定食屋が点在しています。Wi-Fiを探しながら、ゆっくりと旅の記録を整理するのに最適です。

【重要】それでも「安全」ではない。リアルな警戒ルール

ここまでメリダの良さを書いてきましたが、ここだけは声を大にして伝えなければなりません。「メリダはベネズエラの中ではマシなだけで、決して安全な街ではない」ということです。

「何も持っていなくても狙われる」――これは決して大げさな噂ではありません。現地で肌に感じたのは、いつ爆発してもおかしくないような、薄氷の上を歩くような緊張感です。僕が実際に徹底していたルールを共有します。

僕が守り抜いた「護身の鉄則」

  • 夜間外出の禁止:太陽が沈んだら、そこはもう別の世界。どんなに近くても歩きません。
  • 「スマホ出し」は厳禁:道端でGoogleマップを確認するのは自殺行為です。必ず店の中や建物の影に入り、背後を確認してから素早くチェックします。
  • 現金の分散:財布を一つにまとめず、靴の中、隠しポケット、カバンの奥底へと分散。最悪、一つ渡しても全財産を失わないようにします。
  • 油断を敵と見なす:人の良さに触れて心が温まると、つい警戒が緩みます。その「隙」こそが、ターゲットにされる一番の要因です。

まとめ:メリダは「ベネズエラ旅の心を整える場所」

正直なところ、今のベネズエラを「誰にでもおすすめできる最高の旅行先」と言うつもりはありません。リスクは高く、常に覚悟が求められる場所です。

それでも、もしあなたがこの国を旅する決意をしたのなら、ぜひメリダへ足を運んでみてください。そこには、ニュースの数字やプロパガンダでは描ききれない、本物の「人の優しさ」「旅の手触り」があります。

メリダは、すり減った精神を回復させ、再び前を向くための「セーブポイント」のような街。アンデスの冷たく澄んだ空気の中で、あなたはきっと、この国を旅する本当の意味を見つけるはずです。

ただし。その心に、消えない警戒心の火を灯し続けること。それだけは、約束してくださいね。

このブログについて

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